「赤い文字だけを読んでください」。

この指示は、書いた本人が思っているほど確実には伝わりません。 理由は 3 つあります。

前提 1:色の見え方は人によって違う

日本では、男性のおよそ 20 人に 1 人、 女性のおよそ 500 人に 1 人が、 赤と緑の区別がつきにくい見え方をしていると言われます。

30 人に配れば、1 人か 2 人はそこに当たる計算です。 イベントで 100 人に配るなら、数人います。

赤と緑、オレンジと黄緑、青と紫。 このあたりの組み合わせは、区別できない人がいます。

前提 2:印刷で色は変わる

画面で選んだ色と、紙に出た色は違います。

  • 家庭用インクジェット:機種とインクで大きく変わる
  • コンビニのコピー機:彩度が上がって別の色に見えることがある
  • 印刷所:指定どおりに近いが、紙の色に影響される

薄い水色と薄い灰色は、印刷すると見分けがつかなくなることがあります。

前提 3:白黒でコピーされる

持ち帰り謎では、解答者が紙をコピーすることがあります。 書き込む前に控えを取る、複数人で分ける、といった場面です。

白黒でコピーされた時点で、色の情報は消えます。

色を使ってよい場面

これらを踏まえたうえで、色を使ってはいけないわけではありません。 色だけに情報を持たせないのが原則です。

使い方可否
色を雰囲気づくりに使うよい
色を、他の手がかりの補強に使うよい
色だけが手がかり避ける

「赤い文字だけ読む」を成立させたいなら、 赤い文字に別の目印も付けます

色の代わりに使えるもの

代わり使いどころ
太さ拾う文字を太字にする
大きさ拾う文字を一段大きくする
囲み丸、四角、下線
背景の網薄い網掛け(濃度差を付ける)
記号★や●を添える
位置拾う文字だけ少し上げる/下げる

いちばん確実なのは囲みです。 コピーしても、色覚の違いがあっても、確実に伝わります。

それでも色を主役にしたいとき

色そのものを謎の題材にしたい場合もあります。 そのときは、色の名前を紙面に書きます。

  • 色の下に「あか」「あお」と書いておく
  • 色見本に名前を添える

色の名前が書いてあれば、 見え方が違う人も、白黒でコピーした人も解けます。

「色の名前を読む」ことが仕掛けなら、 色そのものは飾りとして機能します。

濃度差を確かめる方法

色を隣り合わせに使うときは、 白黒にしたときに差が残るかを見ます。

やり方は簡単です。

  1. 紙面を画像として書き出す
  2. 白黒(グレースケール)に変換する
  3. 見分けられるか確かめる

白黒にして差が消える組み合わせは、 色覚の違いがある人にも見分けにくいことが多い、という目安になります。

コピー機で 1 枚白黒コピーを取るのでも十分です。

紙の色を使う

インクの色ではなく、紙自体の色を使う手もあります。

  • 小謎ごとに紙の色を変える(分類が伝わる)
  • 大謎だけ違う色の紙にする(特別感が出る)

この使い方なら、色は「グループ分け」を補強しているだけで、 解くのに必須の情報ではありません。 紙の色が分からなくても、紙の中身で判断できます。

紙の選び方は紙選びと印刷にまとめています。

点検リスト

配布前に、この 4 つを確かめます。

  • 色だけが手がかりになっている箇所はないか
  • 白黒コピーを取っても解けるか
  • 赤と緑、青と紫を隣り合わせに使っていないか
  • 色の名前を答えさせる謎で、名前が書いてあるか

白黒コピーを 1 枚取って解いてみる。 これだけで、ほとんどの事故は見つかります。