ヒントは「おまけ」ではありません。 持ち帰り謎では、ヒントの出来がそのまま完走率になります。
そして、ヒントを見た人の体験も、作者の設計対象です。
ヒントは 3 段に分ける
1 つの謎につき、3 段が扱いやすい単位です。
| 段 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 1 段目 | どこを見るか | 「絵の下にある文字に注目してみましょう」 |
| 2 段目 | 何をするか | 「4 つの絵の名前を、ひらがなで書き出してみましょう」 |
| 3 段目 | 答えの直前まで | 「書き出した 4 つの、2 文字目だけを順に読みます」 |
答えそのものは、ヒントとは別に置きます。 3 段目まで読んでも分からない人が、最後に見るものです。
1 段目でいちばん多い失敗
1 段目に「何をするか」を書いてしまうことです。
「4 つの絵の名前を書き出しましょう」と 1 段目に書いた時点で、 その謎の気づきはほぼ終わっています。
1 段目は視線の誘導だけに留めます。 「どこを見るか」を示して、そこから先は解答者に返します。
書いてはいけない言い回し
- 「簡単です」「よく見れば分かります」 詰まっている人に向かって言うと、ただの追い打ちになります。
- 「実は〜」「ここがポイント」 もったいぶるだけで情報が増えません。
- 答えの一部を含む言い換え 「食べ物の名前です」は、答えが「りんご」なら 1 段目としては強すぎます。
ヒントは説明ではなく、道具です。 情報だけを、必要な量だけ渡します。
「解き方」と「答え」を混ぜない
3 段目を書くとき、つい答えの一部が漏れます。
悪い例:「2 文字目を読むと『りんご』になります」 良い例:「書き出した 4 つの、2 文字目だけを順に読みます」
やることだけを書いて、結果は書かない。 この線を守ると、3 段目まで見た人にも「解いた」感覚が残ります。
ヒントの置き場所
紙のヒントには、いくつかやり方があります。
別紙にまとめる いちばん簡単です。ただし、見るつもりのないヒントが目に入ります。 謎ごとに大きく見出しを付けて、目線が滑らないようにします。
逆さまに印刷する 紙を回さないと読めないので、うっかり読む事故が減ります。 文字が小さいと読みづらくなるので、本文より少し大きめにします。
折りたたむ・シールで隠す 確実ですが、部数が増えると手間が効いてきます。
答えだけ最後のページにまとめる ヒントと答えの距離を離すと、答えを見る前に一度考え直してもらえます。
何問ぶん用意するか
すべての小謎に 3 段用意するのが理想ですが、量が増えます。 削るなら、この順です。
- 種類の違うギミックを使っている謎 → 必ず 3 段用意する
- 他と似た解き方の謎 → 2 段でよい
- いちばんやさしい謎 → 答えだけでよい
「他と似た解き方」の謎は、 別の問題を解いた経験そのものがヒントになっています。
ヒントを書くと、謎の弱点が見つかる
これがヒントを書く最大の効用です。
1 段目に「どこを見るか」を書こうとして書けないなら、 見るべき場所が紙面で目立っていないということです。 ヒントではなくレイアウトを直します。
2 段目に「何をするか」を書こうとして、説明が 3 行を超えるなら、 そのギミックは複雑すぎます。
ヒントは、謎の点検表としても使えます。
テストプレイでの見方
テストプレイでは、ヒントの使われ方も見ます。
- 1 段目で解けた → ちょうどよい
- 3 段目まで見た → 気づきが遠すぎる
- ヒントを見ずに詰まったまま → ヒントの置き場所が分かりにくい
- ヒントを最初から全部読んだ → 謎の見た目が難しそうすぎる
最後の 2 つは、謎ではなく紙面の問題です。 読み違えられない文字組みのほうを見直します。
まとめ
| 段 | 書くこと | 書かないこと |
|---|---|---|
| 1 段目 | 見る場所 | すること |
| 2 段目 | すること | 結果 |
| 3 段目 | 手順の全部 | 答え |
| 答え | 答え | — |
この 4 枠を埋めるつもりで書くと、 「言いすぎ」も「足りなさすぎ」も減ります。