ことばを探す道具を使うと、作業は確実に早くなります。 一方で、「探させると出てこないもの」もあります。
工程ごとに、任せる・任せないを分けておくと迷いません。
機械が得意なこと
網羅 「4 文字で 2 文字目が『ん』の食べ物」を、抜けなく数える。 人がやると必ず抜けます。
数える 濁点の数、母音の並び、五十音表の位置。 機械的に決まるものは、間違えません。
組み合わせを試す 並べ替え、ずらし、複数のことばへの同時当てはめ。 総当たりが要る作業です。
人が得意なこと
面白いかどうかの判断 候補が 30 個あったとして、 その中で「気持ちのいい答え」を選ぶのは人の仕事です。
文脈をつける なぜその答えなのか、物語とどうつながるか。 機械には判断材料がありません。
知らないことばを避ける 辞書に載っていても、解答者が知らなければ答えになりません。 配る相手を知っているのは作者だけです。
辞書の外を思いつく 地名、商品名、方言、その場の内輪ネタ。 辞書に無いことばは、検索しても出てきません。
工程ごとの分担
| 工程 | 任せる | 自分でやる |
|---|---|---|
| 答えを決める | — | ◯ |
| 候補を集める | ◯ | — |
| 候補から選ぶ | — | ◯ |
| 別解を数える | ◯ | — |
| 別解の危険度を判断する | — | ◯ |
| 条件文を書く | — | ◯ |
| 文字数・濁点を数える | ◯ | — |
| ヒントを書く | — | ◯ |
「集める」は機械、「選ぶ」は人。 この線がいちばん分かりやすい分け方です。
検索条件を作業記録に残す
ツールを使って候補を確認したら、答えだけでなく条件も残します。 「4 文字」「2 文字目が『ん』」「最後が『く』」のように書けば、 あとで辞書や仕様が変わったときも同じ確認をやり直せます。
残す項目は次の 4 つで十分です。
- 検索した日
- 入れた条件
- 使った辞書
- 採用した候補と、採用しなかった理由
検索結果の件数だけを残すと、どの条件で出た数字か分からなくなります。
任せすぎるとどうなるか
候補を機械で集めて、上から順に選ぶと、 謎が似てきます。
検索結果は、五十音順または文字数順に並べられます。 毎回上から選べば、毎回同じようなことばが答えになります。
対策は単純で、 並び順を変えて眺めることです。
五十音順、文字数順。それぞれ昇順・降順。 並び順が変わると、目に入ることばが変わります。
自分でやりすぎるとどうなるか
逆に、全部手で考えると、 別解の見落としが増えます。
自分が思いつく範囲だけを確かめて、 「これしかない」と判断してしまう。 これがテストプレイでいちばん多く出る指摘です。
条件を書いたら、一度は数えます。1 分で済みます。
ただし、0 件や 1 件という表示をそのまま正解の証明にはしません。 辞書に未収録の語、表記ゆれ、固有名詞は残る可能性があります。 結果は「この辞書、この条件では何件だったか」という確認として使います。
使い分けの目安
| 場面 | どうするか |
|---|---|
| 答えのイメージがある | 手で考えてから、機械で裏を取る |
| 答えが決まっていない | 機械で眺めてから、手で選ぶ |
| 別解が心配 | 必ず機械で数える |
| 既視感が心配 | 並び順を変えて、下のほうも見る |
| 配る相手が決まっている | 最後は必ず自分で選ぶ |
10 分で行う実用的な分担
時間が限られているときは、作業を次のように区切ります。
- 2 分:人が答えのテーマと難しさを決める
- 3 分:ツールで候補を広く集める
- 2 分:人が候補を 3 語まで選ぶ
- 2 分:ツールで各候補の別解を確認する
- 1 分:採用理由と検索条件をメモする
先に時間を分けると、候補一覧を眺め続けて決められない状態を防げます。
保存して寝かせる
眺めているうちに見つけた「使えそうなことば」は、 その場で使わなくても保存しておきます。
星を押しておけば、 保存したことばに溜まっていきます。
次の企画で条件を考えるとき、 手元に候補があると出発点が早くなります。
結局のところ
道具は、考える時間を作るためのものです。
数える作業に 30 分かけていたところを 1 分に縮めれば、 残りの 29 分を「どれが面白いか」に使えます。
そこが謎の質になります。
